◇◇◇「空を見上げてごらん!」◇◇◇

ある国の、ある刑務所の狭い一室に、
二人の囚人が入っておりました。

その部屋には小さな天窓がありました。

囚人は月に1回だけ、梯子(はしご)を掛けてもらって、窓から外を見ることができました。

二人はもうじき出所の日が来ます。

一人ずつ梯子を登って、窓から外を眺めました。

一人は、青い空を見ました。
「これから俺が出て行く世界は、こんなにきれいで、広いんだ!
と、わくわくしました。

次に、もう一人が代わってはしごを登りました。
彼は、湿地帯の地面を見ました。
が上がったばかりで、その湿地は沼のようでした。

彼は、
「これから出て行くところは、こんな沼なんだ。どうせ外に出たって、同じさ。」
と気持ちが沈みました。

出所した二人が辿ったその後の道のりを追跡した結果、
窓から大空を仰いだ人は、希望に向かって歩み始め、社会復帰を果たしました。

沼地を見て気持ちが沈んだ人は、再び刑務所へ送られて来ました。

今いる立ち位置から見えたものによって、人生が創造されます
そこから「何を見るか」…それが人生を創ります。

かつて、苦しみの底にいる時、私は
「ここからしか見えないものを見ておこう」と思いました。

そこからしか見えないものを見た者だ
からこそ できることが未来に待っていました。

私の娘は、学校に行けない半年間、
ベランダから見えるものだけが「外の世界」でした。
人の目に触れない時間になると、ベランダに出てよく空を見ていました。

私も今、空を仰いで、流れる雲の形が変わっていく様を見て楽しみます
ひとりでに、雲と対話しています。
そういう無駄なような時間が、とても大事な宝をもたらしてくれていたことに、
ずっと後になって気づきました。

何度も繰り返し見たものは、心の中に入ってきます。

いつのまにか 私の心には、大空のような広々とした世界がありました。
生きるのが、とても「楽」です。

あなたはそこから何を見ますか? 

何を見たいですか?

何を見ることができる あなた ですか?

今 見るものの先に、あなたの人生が創られています。