質問にお答えします。

Q.葬儀は誰のためのものですか?

 この質問の意図は、お世話になった身内の葬儀が家族だけで執り行われると聞き、参列できない立場の自分は「最後のお別れ」さえできない不満を抱えてのことです。

A.喪主や葬儀委員長が決めたやり方に従うのが宜しいと思います。

 外部からの口出しは無用という意味で、御当家のお邪魔にならないようにしましょう。

 古くから地域に伝承されてきた習わしを重んじる時代から、葬祭の方法が自由に選択できる時代に移行しつつあります。

 「家族だけで執り行う」とすれば、そこには喪主やご家族のご都合があってのことでしょう。

 お亡くなりになった方が御高齢で、久しく世間との交わりが途絶えていた場合、

 またはご家族が【大袈裟な葬儀にする必要はない】とお考えの場合もあるでしょう。

 もしくは、【あの人には来てもらいたくない】という特別な事情があるのかもしれません。

 (あくまで一般論で、個別の事情を詮索するのは家庭内でも避けたいものです)

 生きていれば様々な行き違いや揉め事があります。人が 亡くなった時は、それまで潜伏していた不満が表に出やすいもので、諍(いさか)いを避けられるよう整理した結果、「家族のみで」となったと考えられます。

  それに対して、「せめて最後のお別れはさせて頂きたかった。ひっそりと行うなんて、亡くなった人が可哀想」などと傍(はた)が言うのは、大きなお世話です。

 冥福を祈りたければ、どこにいても祈ることができます。四方八方どこを向いても祈りは通じます。

 葬儀のあり方に物申したい気持ちこそ、要注意! 

 不用意な言葉が、そんなつもりじゃなくても、後々揉め事の火種になることがあります。

 

Q.毎年年賀状をもらっていた人から届かなくなった。事情を尋ねたものか?

A.そっとしておいたら宜しいと思います。 知られたくない事情があるのかもしれません。

 もし私が、年賀状を出せなくなった本人なら、そっとしておいてもらいたいです。

 これにはきっと訳がある・・・、と思いやりましょう。

 「どうしていらっしゃるかと思って…」

 親しみと気遣いから問い合わせたつもりでも、その電話に応じるご家族の気持ちは・・・?

 言いたくない事情があるかもしれません。

 仮に、離婚・大病・認知症・・・どれをとっても言い難いでしょう。亡くなっている場合、縁が遠いと報(しら)せがないことがありましょう。「亡くなりました」と言わせなくてもいいのでは・・・。

 私ども夫婦は、自分あるいは配偶者が認知症になっても田舎には報せないと話しております。色々な人がおられますから、どんな噂になるか・・・。

 「知らなくていいこと」は沢山あるような気がします。

 大病の時も言いません。病気を知らされるとお見舞金を催促されたと受け取られることがあります。

 患者になって、特別に会いたい人がいれば別として、【病気の人にはお見舞いに行くもの】という習わしも、一概に良いとは言い切れません。

 知られたくない、訊かれたくない、言いたくないことがあるのです

 「具合はどう?」と訊かれたくない、話題にされたくない。ご家族だって! 何人もの人に訊かれるたびに、何度も何度も病状を答えなければならない気持ち・・・過酷ですよ。勘弁して!

 人に見られたくない姿になってしまった人もおられるでしょう。

 お見舞いに行くだけが「思いやり」ではないと思います。

 他にできることがあるかも・・・

 そういう心使いこそ、縁を大事にすることになるのではないでしょうか。 

 患者さんにとって「押しかけ客」とならないためにも

 

Q.「余命宣告されて、これで死ぬ」とわかっている今、親にも親戚にも会いたくない。

A.相当にお辛い関係だったのでしょう。報せなくていいと思います。

 そういう人はいらっしゃると思います。お気持ちがよくわかります。

 暴力的に育てられたか、支配され 搾取されてきたか。多くの人がこれで苦しんでいます。

 自分のことしか考えられない親に限って、そんな時「親より先に死ぬなんて、こんな親不孝なことはない。あんたが死んだら私はどうすればいいの?私の面倒をだれがみてくれるのよ?」とオヨヨと泣くでしょう。今、余命宣告されて 身体は痛みに耐え、死に向き合う大事な時に、こんな親は邪魔でしかありません。つくづく依存されて重い親だったのでしょう。金輪際 離れてよい、切れてよいと思います。

 「残された時間」を 本心から一緒にいたい人とだけ、共にすればいい。

 もし、あなたに配偶者や子どもがいたら、亡くなった後、知らされなかったことで配偶者が責められるでしょう。残された大切な人を苦しませないよう、意志を書いておくか、信頼できる人に意中をつまびらかにしておくことです。できる限りパートナーと子どもを守ってあげてください。

 後々わが子までが親戚や近隣にとやかく言われることも想定できます。子どもにわかっておいてほしいことは記録(手紙・録音)しておくと後々の助けになるでしょう

 善意の顔で、とかく人はウルサイことよ。後で自分が後悔しないようにとの保身を隠して「ああすれば?」「それはやめた方が良い。無理しないでゆっくりして」と、自由を奪いコントロールしようとします。

 そっとしておいてくれる人が一番いいな。お見舞金を送るだけが一番有難いのかもね。いやいや、ウルサイ人ほどお見舞金を惜しむんだ、これが。オカシイね。