「私は結果を積んできた『結果人間』ですから」

とおっしゃる 良子さん(仮名)にお会いしました。

ご本人の了解を得て、

「自己否定されてきた過去の自分」との和解の状況 を紹介します。

 

結果人間である、その価値観が苦しみになっておりました。

結果を出せない人にイライラしてしまいます。

「もっとこうすればいいのに…」と思うので、人との関係が苦しいものになり…。

 

良子さんとて、望ましい結果を出せたことばかりではありません。

努力が報われない残念な結果も体験しました。

そんな時は、「できない自分」をバッサリ切り捨ててきたそうです。

失敗したのが自分でないかのように、見ないようにしてきました。

 

それでは、「達成感を積み重ねてきた」とはいえ、

本当の意味で自己肯定感を満たすことはできません。

ですから、深いところには

「どんなに頑張ったって、私じゃダメだ」という思い込みがありました。

 

(カウンセリング)

高橋「できていることがたくさんあるでしょう?

  できていることを数えてみましょう。

  できていることは何? わかっているでしょう?」

 

良「できていることが、わからないのが痛い。

  何もできない…。

  私、結果人間ですから。結果が出たことしか認められません。」

 

望ましい結果が出せなくて、バッサリ切り捨てられた

<良子ちゃん>に私は話しかけました(青い文字)。

(催眠誘導していない。通常のカウンセリングのままで)

 

良子ちゃん、「生きているよ、私はここにいるよ。見て!」

って、良子さんに言いたいでしょう?

言ってごらん。

「失敗したって、私はここにいるよ、生きているよ!」って、言ってごらん。

 

「バッサリ切った」って言っているけれど、

本当は良子さん、切って苦しかったのよ。

目を向けられないことが、ずっと苦しかったの。

 

良子ちゃんは、本当は切り捨てられてなんかいなかったの、隠されただけ。

出ておいで、もう隠れていなくていいんだよ。

寂しかったね、孤独だったね。邪魔者にされて。

望ましい結果を出した時も、望ましくない結果が出た時も、

どっちも 良子ちゃんだったのにね。

 

良子ちゃん、ありがとう、生きてくれて。

ありがとう、辛い役目を引き受けてくれて。

ごめんなさい、避けてきて。許してください。

良子ちゃん、愛しています。

(繰り返しました)

 

良子ちゃんは、

「私を見ていなかったでしょう。」と、怒った顔をしているそうです。

 

良子さんは、運転席でシートベルトを締めるたびに、

(子ちゃんに)ありがとう」って言います。

ハンドルに触るたびに「ありがとう」って言います。

毎日、そのたびに、陰に隠れてきた自分に

ありがとう」を言います。

 

良子ちゃんは、疑いの目を向けているそうです。

私は良子さんに語りかけました。

 

望ましい結果でも、

望ましくない結果でも、どちらにも価値があるのよ。

 

頑張っても、頑張っても、うまくいかないことがあるよね。

そういう体験をしてもいいんだよ。

辛い体験をしたから、

うまく結果が出せない人の気持ちがわかるよね。

その人なりに結果が出せるまで、待ってあげられるよね

 

良子ちゃんが望ましくない結果が出た体験をしてくれたお陰様で、

良子さんは今、大事なことを学んでいます。

 

うまくいかないことにも価値があります。

どちらの結果にも、価値を見つけられるようになります。

それができると、寛容な人になります。

たくさんの人に親しまれる人になれます。

 

良子さんは暖房のよく効いた部屋で、毛布を掛けているのに、

「寒い、寒い」と言い出しました。

いないものとして扱われてきた良子ちゃんが寒いのかもしれません。

(子ちゃんに生命のエネルギーと、愛の光を注ぐよう天に声をかけました。)

 

 すると良子さんは気持ちよさそうに寝息を立て始めました。

それから90分間眠った後、穏やかな気持ちで催眠から覚め、

汗を拭いておりました。

暑くてたまらないそうです。

眠っている間に夢のように見た光景を話してくれました。

いろんな情景…体の感覚、やがて自分の寝息が聞こえ…の繰り返しだったそうです。

 

最後に子どもがいて、ピョンピョン楽しそうに飛び跳ねて、

良子さんの腕にすり寄ったり、肩に飛び乗ったりしていたそうです。

腕も肩も、その子の感触をしっかり覚えているそうです。

冷えていた良子ちゃんに生命力が満ちて、癒され、良子さんと和解したようです。 

 

事後面談での話

良「高橋さんの言葉が自分の中に入ってくるのは、

 これまで自分の内側を埋めてもらってきた土台があるからです。

 それがなかったら、人の言葉は自分を素通りしていたと思います。」

良子さんと私の間に信頼関係があったから、こんなふうにできたのだと思います。